パワーストーンよもやま話D

緑は癒しの色か


 緑系の石って、癒し系と言われているものが多いですよね。
 でも、それって単なるパワー不足という理由なのでは・・・と思ったりするのでした。
 緑系の石って、現代ではあんまり利用されていないんですよね。


エメラルド(翠玉)の輝き

 エメラルドは、ベリル(緑柱石、成分は Be3Al2(SiO3)6 に、微量なクロム(Cr)が混入して、鮮やかな緑色となったものです。
 緑色のベリルは、さほど珍しいものではないのですが、透明で傷のない「エメラルド」と呼べるようなものは少なく、昔から神秘性のある石として貴重なものでした。もちろん、今でも人気の高い石ですので、合成エメラルドも結構出回っています。

アクアマリン
 ベリルは、緑色以外にも、青・黄・赤・無色のものがあり、きれいなものは宝石としての需要があります。ちなみに青いベリルは、アクアマリンとして有名ですね。
 さて、ベリル類は、宝石としては比較的人気のある石ですが、産業用として使われることは、ほとんどありません。
 ただ、ベリルには成分としてベリリウム(Be)という金属が含まれていますので、ベリルは鉱石としての価値はあります。

アベンチュリン

 アベンチュリンは、透明な石英中に、色の付いた白雲母(成分はKAl2(AlSi3O10)(OH,F))の微細な結晶が含まれたもので、緑色のクロム白雲母が入ったものは、緑色のグリーン・アベンチュリンになります。
 ちなみに、石英の仲間で緑色のものは、他にクリソプレーズ(緑玉髄、緑めのう)というのもありますが、こちらは雲母のキラキラ感がないので、区別するのは容易です。
 さて、このアベンチュリンは、次に述べるヒスイに外観が似ているので、昔からヒスイの代用としての人気があります。石英ベースの石なので丈夫だし、加工も比較的容易で安価とくれば、これを使わない手はないですね。ただ、この石にインドヒスイという紛らわしい名前を付けるのは、どうかと思うけど。

ヒスイは硬いのではなく強いのだ

 ヒスイ(翡翠) と呼ばれる鉱物には、ヒスイ輝石(ジェダイト jadeite)の繊維状結晶体である硬玉と呼ばれるものと、緑閃石の繊維状結晶体であるネフライト(nephrite)である軟玉の2種類があります。
 ヒスイ輝石の成分は NaAlSi2O6で、白・緑・青・紫・赤・黄色など色々ありますが、濃い緑で透明感のあるものが値段が高いので、染色処理も盛んなのです。(困ったものだ・・・)
 ヒスイは強靭性があることで有名で、鉄製のハンマーで叩くとハンマーが壊れてしまうほどです。これは繊維の集合体であることが理由ですが、その原理を産業上で応用して、硬くてもろい物質を繊維状にして固めて強靭にしたものも多く開発されています。ガラス繊維なんかは、そのいい例ですね。

ペリドット(カンラン石)は、地球内部で探そう?

 ペリドットは宝石名で、カンラン石(Olivine、成分は、(Mg,Fe)2SiO4)の微量の鉄イオンの影響で、きれいな黄緑色となったものです。
 カンラン石は、地球内部のマントル中に大量にあるようなので、そこには大量のペリドットがあるのかもしれませんね。(無理だっちゅーの!)
 カンラン石は高温に耐えるので、その砂状のもの(オリビン・サンド)は、鋳物を作る時の砂型の材料の一つとして使われています。

マラカイト(孔雀石)

 マラカイト(成分は、Cu2(OH)2CO3)は、銅のサビと同じ成分で、これは「緑青(りょくしょう)」ともいいます。
 緑の顔料や装飾品に使われますが、我々の周りだと「銅のサビ」で有名だったりしますね。銅像や神社の銅板葺きの屋根が緑色になるあれです。
 なお、マラカイトが銅の鉱石として使われることは、今はあまりありません。

ちと脱線・・・銅だって四変化

 緑や青色で代表的な元素といえば、銅ですね。
 鉄も七色変化をしますが、銅もそれに負けないぐらいカラフルです。
赤銅鉱(CuO)
アズライト(Cu3(OH)2(CO3)2
マラカイト(Cu2(OH)2CO3
黄銅鉱(CuFeS2
 銅そのものは、現代社会の生命線である電気を伝える電力線として、また情報を伝える信号線として広く利用されています。
 あと、脊椎動物のヘモグロビンと同じ働きをする、無脊椎動物の「ヘモシアニン」の構成物質であり、生命には欠かせない物質でもありますね。ちなみに、ヘモシアニンは青色なのです。
あと、他に緑色の原因となる有名な元素は、ニッケルやクロムなどがあります。

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