ライダーウェイト・タロット解説

Two of Wands / 棒の2



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A tall man looks from a battlemented roof over sea and shore; he holds a globe in his right hand, while a staff in his left rests on the battlement; another is fixed in a ring.
背の高い男が、海岸の上にある、狭間胸壁のある城の屋根から見ている。彼は右手に地球を持っており、一方、左手にある一本の棒は、狭間胸壁の上に置かれている。もう一本(の棒)は、輪に固定されている。

 狭間胸壁(はざまきょうへき)というのは、敵から攻撃を受けても、銃や弓矢で応戦できるように、銃眼(じゅうがん)や矢狭間(やざま)を持つ城壁のことです。
 つまり、この人物は戦場の指揮官と見ることができますね。
 また、彼が地球を手にしているのは、彼が世界の支配者であることを示しています。

 棒は2本あり、一つは壁の上にあり、人物が支えています。つまり、不安定な状態ですね。
 もう1本は壁の内側に固定されており、比較的安全な状態に置かれています。

The Rose and Cross and Lily should be noticed on the left side.
「バラ」と「十字」と「ユリ」が左側にあることに気づくべきであろう。

 この暗示の意味するものですが、
 「キリスト(十字)の受難(赤いバラ)、そして復活(白いユリ)の象徴」
と考えることができます。
 間違っても、情熱の女性(赤いバラ)と清純な女性(白いユリ)とのクロスプレイとか、「薔薇族」vs「百合族」の仁義なき戦いというものではありません。

 そして、それらが左に配置されているのは、それが過去の出来事、もしくは内面的な出来事であることを象徴していると考えられます。

Divinatory Meanings: Between the alternative readings there is no marriage possible; on the one hand, riches, fortune, magnificence; on the other, physical suffering, disease, chagrin, sadness, mortification.
占いの意味(正位置):二つの選択可能な解釈があるが、それらは結びつけることは可能ではない。一方は富、運、壮大(崇高)。他方は、肉体的苦悩、疾病、無念、悲嘆、屈辱。

 従来のこのカードの解釈としては、2つの説があり、それらは正反対の意味を持つということですね。
 ウェイト氏は、これに対して、以下のように解釈することにしたようです。

The design gives one suggestion; here is a lord overlooking his dominion and alternately contemplating a globe; it looks like the malady, the mortification, the sadness of Alexander amidst the grandeur of this world's wealth.
図案は1つの暗示を与える。ここでは、君主が、彼の領地を見下ろすのと、地球の熟視を交互にしている。それは、混乱と無念、そしてこの世界の富の権勢の真っ最中にあるアレクサンダー大王の悲嘆のように見える。

 アレクサンダー(BC356〜BC323)大王は、古代ギリシャの王で、東はインド、南はエジプトに至る大帝国を築いた人物です。彼は強大な兵力と統率力で、若くして世界を支配しましたが、世界征服の道半ばで急死してしまいました。
 そして、彼の支配していた領地は、まもなく分裂してしまうのでした。

 つまり、現在は、まだまだ行動力(棒の火の元素の力)があり、富と権力を持っている。
 でも、今後は、それを管理・維持する力(地球の地の元素の力)のことを考えると、それは深い憂鬱につながる、と。

Reversed: Surprise, wonder, enchantment, emotion, trouble, fear.
逆位置:驚き、驚異、魅惑、感動、心配、恐れ。

 逆位置も、結びつけることが可能でない、2つの違った解釈を併せ持つようですね。


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