タロットの起源は、実は良くわかっていません。
と書いてしまうと、話が進まないので、とりあえず書きます。
本当は、もっと書くことはあるのですが、あまり書く時間がないので、後から付け足していくことにします。期待していた人、ゴメンね。
トランプは、14世紀の前半のイタリアで発明されたようです。現物は見たことはありませんが、その絵柄には、
・聖杯・・・現在のハート、聖職者
・貨幣・・・現在のダイア、商人
・刀剣・・・現在のスペード、軍人・貴族
・棍棒・・・現在のクラブ、農民・労働者
が描かれていました。要はタロットの小アルカナ(数札)と全く同じ4つのスート(紋章)なのです。
タロットの小アルカナの原型は「トランプカード」であることについては、ほぼ間違いないと思われます。ただ、大アルカナの原型については、まだ良く分かっていないのが実状のようです。
現存する最古のタロット・カードは、15世紀中頃のイタリアで作られたビスコンチ・スフォルザのタロット(VISCONTI-SFORZA TAROCCHI)と言われています。このカードは、22枚の大アルカナと、現存する52枚の小アルカナ(作られた当時の枚数は知りません)になっており、ほぼ現代のタロットの構成と同じです。実は、それ以前にも現代のタロットに似たものがあり、22枚の大アルカナは、それ以前に発明されたようです。
このタロットを起源とし、その後さまざまなカードがイタリアにおいて作成され、まもなく現代に通じる22枚の大アルカナと56枚の小アルカナという基本構成が成立したようです。
最初は、カード遊び用に発明されたのではないかという意見が多いようですが、遊び方の一つに「占い」もあったのでしょう。タロットを賭博用に使ったこともあったのでしょうね。
イタリアで発明されたタロットはフランスに渡り、15世紀終わりには、現代でもポピュラーな「マルセイユ版タロット」が発行されました。
タロットやトランプは、この時代には主に遊び用として使われていたようです。
18世紀の後半になって、タロットの世界に「研究家」が本格的に登場しました。それに伴い、従来の遊び用から占い用に、使われ方が変化していったようです。
まず初めは、エジプト研究や神話研究で有名なクール・ド・ジェブランが「タロットは、古代エジプト神話に出てくるトート神の知識の書(トートの書)である」という説を唱え、実際にそれに基づいたカードをその著作の中でデザインしています。
次に、自称研究家であるアリエッテ(エッティラ)は、「タロットとヘブライ文字には関係がある」という説を唱え、独自のカードを作成しています。
19世紀の中頃に、カバラ魔術の実践家であるエリファス・レヴイが、「タロットは、カバラ(ユダヤ教の神秘思想)と関係がある」という説を唱えています。
19世紀の終わりに、学者であり、魔術団にも属していたジェラール・アンコス(魔術名:パピュス Papus)は、レヴィの説をさらに発展させ、現代にも通じるタロット理論を構築しています。
これを発端として、タロットはカバラ魔術と強い結びつきをもって解釈されるようになりました。
19世紀の終わりに、魔術団ゴールデン・ドーン(以下、GDという)が発足しました。GDは「タロットのカバラ的解釈」をさらに推し進め、魔術道具としてタロット・カードを利用しました。現代のタロットの解釈は、このGDのものに依るものが多くあります。
GDでのタロット解釈は、主に、団の創設者の一人であるマクレガー・マサースによりまとめられ、しばらくは団の秘密文書となっていましたが、様々なルートから内容が流出し、世間に広められていきました。
20世紀になって、GDに属していた神秘思想研究家であるアーサー・エドワード・ウエィトは、従来の解釈やGDの解釈を取り入れ、独自の解釈による独自デザインのカードを作りました。これが現在でもポピュラーな「ライダー・ウエィト版」です。このカードの出現以降、このカードを真似たものも多く発表されています。このカードは、世界中で最も多く使われているものであり、これから派生したカードも、おそらく最も多いと思われます。
20世紀中頃、GDに属していた魔術師アレイスター・クロウリーは、従来のGDの解釈を発展させ、独自の解釈による独自デザインのカードを作りました。これが有名な「A.クロウリーのトートのタロット」です。ただ、このカードは、魔術的な要素が強いので、一般的な占いには向きませんが、美術的に優れたものなので、タロット愛好家にはとても人気のあるカードです。
現代では、過去に幾度かのオカルト・ブームがあって、新しい解釈による多くのオリジナル・タロットが生み出されています。また過去に発行されたタロットも復刻されていますし、タロットの入門者用の本の付録としても、多くの新デザインのものが作られています。
現代では、主に、アメリカやイタリアの会社から新作タロットが発行されていますし、世界的に見てもアメリカでのカード需要が多いようです。でも、キリスト教って、占いが禁止されているはずなんですけど・・・・まあ固いコトは言わないことにしましょう。
ちなみに、新作タロットの中には正統派占い師から見て首を傾げるようなデザインのものも多いのですが、それなりに使えるものも多いので、そういうものについては、個人の趣味の範囲として考えています。(ヤボなコトは言わない主義です。)
でも、本格的にタロット占いを行うのであれば、一度は基本的な「ライダー・ウェイト版」を使ってもらいたいと思っていますけどね。
最後に、直接関係のない話で恐縮ですが、「タロット」という呼び方は、実は日本だけの呼び方と言って差し支えないようです。
・英語 … タロー
・仏語 … タロ
・独語 … タロック
・伊語 … タロッコ(タロッキ)
では、なぜ日本ではタロットと呼ばれるのか・・・・。
まあ、それは言わぬが花、ということで・・・。
とはいえ、日本ではタロットという呼び名は定着していますし、あえて他の名前で呼んでもあまり意味の無いことなので、今後もとりあえず、「タロット」という名前を使うことにします。
そういえば、「トランプ」というのも、日本独特の呼び方のようです。英語では「カード」というのが一般的です。
ちなみに、「トランプ」というのは「カードゲームでの切り札」という意味らしいですので、本来の「トランプ」という言葉は、タロットで言うところの「大アルカナ」に相当するものと考えることも出来そうですね。