パワーストーンよもやま話A

白が基本なのだ


 白い石は、透明な石と成分が同じものが多くあります。白い石は、その成分が比較的純粋ではありますが、単結晶でないために、何かの原料として使われることが多くあります。

 なお、透明と白の違いは、光をそのまま透過するか、乱反射するかの違いなので、その内部構造に違いがあることが多く、その中で最もポピュラーな原因が、単結晶か多結晶かの違いですね。単結晶というのは、その名のごとく、一つの結晶体であり、多結晶というのは、微細な結晶の集合体というもので、結晶の隙間があるために、そこで光が乱反射して、石が白く見えるというものです。


クォーツ(石英)

 単結晶である水晶(SiO2)が多結晶体になると、透明感がなくなって石英と呼ばれる鉱物になります。
 純粋なものは白ですが、天然の石は不純物を含むので、色が付くことも多くあります。
 水晶の欄で述べたように、石英類は地球上で最もポピュラーな鉱物で、天然に産する石英を成分とする石は、フリント、珪石、珪岩などがあります。
 なお、水晶は火山の近くで作られますが、石英の仲間は生物由来(主として珪藻類)のものも結構多くあり、これらは(昔の)海中で作られました。陸上の植物にも、石英を含むものがあります。 
 石英の仲間の石は、一般的な石材として以外にも、色々な原料に使われています。
 ガラスは主に「ケイ砂」から作られますが、この成分も石英です。半導体となるシリコンの原料となっているのも、この石英を主成分とする珪石ですね。

・カルセドニー(玉髄)とアゲート(めのう)

 どちらも、石英の微結晶体ですが、色がなく乳白色のものがカルセドニー、不純物を含み色が付いたものをアゲートといいますが、色が付いていても縞模様がはっきりしないものをカルセドニー、はっきりとした縞模様のあるものをアゲートと言う場合もあります。一般的なアゲートは赤と白の縞ですが、白と黒の縞のものはオニキスと呼ばれています。
 いずれも微結晶の集合体で結晶間に隙間があるため、簡単に染色が可能です。ここまで染色が簡単だと、本物の天然色アゲートよりも、芸術的価値のある染色アゲートの方が人気がある場合もあったりしますね。
 色のきれいなものは、彫刻品にしたりして、結構人気がありますが、それ以外の利用価値は、ほとんどありません。

アルミナ

 アルミナの成分は、サファイアと同じ酸化アルミニウム(Al2O3)ですが、多結晶体あるいは不定形のものです。アルミナは化学的に安定で、耐熱性、電気絶縁性に優れ、硬くて熱伝導性も良いので、電気・電子分野や医学分野などの、さまざまな産業分野で使われています。各種の基板や容器やパイプ、電気絶縁用の機構品などがありますね。あと、多結晶体にある微細な隙間を利用して、各種のセラミックフィルタなどにも使われています。また、骨の代替として、人工生体材料としても使われていますし、普通のガラスでは耐えないような光学部品としても使われることがあります。

・アルミニウムの原料

 アルミナは、現代社会を支える金属として重要なアルミニウム(Al)の原料となるボーキサイトの成分です。
 つまり、一円玉の材料であるアルミナは、日本経済の底辺を支える物質なのでした。

・では、一円玉を原料としてサファイアやルビーが合成できるのか?

 答を先に書いてしまえば、割と簡単に可能なのです。
 もちろん、一円玉の成分であるアルミニウムだけでは赤や青の色を出すことは不可能(不純物が必要)ですが、サファイアを合成することはそう難しいことではありません。ただ、それなりの装置や薬品や費用がかかりますし、合成品はすでに出回っていますので、個人で合成しても割に合わないのは確かでしょうね。

ちと脱線・・・シリコンについての話

 シリコンといっても、美容整形に使われるシリコン(樹脂)ではなくて、純粋な元素であるシリコン(Si)の話。
 純粋なシリコンは、天然には産出しませんので、二酸化ケイ素(SiO2)である石英(ケイ石など)から人工的に作られます。
 で、このシリコンは何が重要かというと、シリコンこそが現代文明を支えているものの一つである半導体素子の中で最もポピュラーかつ重要なものなのです。
 半導体に使われるシリコンの単結晶は、我々の生活を支える物質の中では最も純度の高いもので、99.999999999%(イレブンナイン)級のものをベースにしています。
 これほどの高純度が必要なのは、「純度が高いほど、性能が良くなる」とか「純度が高いほど、故障が少なくなる」というのが理由です。純度が低いと、不純物のせいでシリコン結晶本来の能力を発揮できないからですね。
 ところで、シリコン半導体って、何ができるのでしょうか?
 コンピュータの頭脳である半導体チップ、電気機器を制御する半導体チップ、これらはほとんどシリコンですし、近頃話題となっている太陽電池も、シリコン半導体がメインです。
 現代社会を支える電気や情報をコントロールしているのは、ほとんどシリコン半導体の力なのです。
 人間の知力・能力をバックアップできる存在としてのシリコン。
 人間は、炭素(C)をベースとした有機体の働きで生命活動を行っていますが、シリコンというのは、化学的には炭素と同族である4B族です。これはたぶん偶然の一致ではないですよね。
 ということで、シリコンにはいつもお世話になっております。

BACK HOME NEXT
inserted by FC2 system