パワーストーンよもやま話E

ブルーな気分


 何でブルーな気分なのかって?
 実はブルーの世界も、ニセモノが多く出回っているからなのです。


トルコに無いけどトルコ石?

 トルコ石(Turquoise)は、きれいな青空色で有名な石で、成分は CuAl6(PO4)4(OH)8・4H2O です。成分に銅(Cu)が含まれているため、淡青〜濃青、空色、青緑の色があります。

ハウライト・トルコ石
 濃い青色のほうが価値が高いので、淡色のトルコ石を染色した「染色トルコ石」、トルコ石の粉末を圧縮成形した「再生トルコ石」、人工的に合成した「合成トルコ石」、全く別の石を染色した「偽トルコ石」、あるいはプラスチックやセラミック製の「模造トルコ石」などが出回っているので、購入する時は注意が必要です。近頃は、ハウライト(howlite)という白い石を染色したニセモノが、「ハウライト・トルコ石」という紛らわしい名前で出回っていますが、ハウライトは硬度が3.5しかなく、トルコ石の硬度5〜6と比べるとかなり柔らかく傷つきやすいので、トルコ石の代わりと言うには、相当に見劣りするものです。
 さて、トルコ石は、産業上の役に立つかというと、実はほとんど役には立ちません。
 ついでに言うと、トルコ石はトルコでは産出せず、ペルシア(今のイラン)やシナイ半島で産出したものがトルコを経由してヨーロッパに運ばれたので、そういう名前になったということです。
 ニセ物も多い上に、名前の由来もニセモノっぽいトルコ石って、ちょっとブルーな石なのでした。

ラピスラズリは青い石

 ラピスラズリ(Lazurite)の成分は、単一の組成ではなく、(Na,Ca)7〜8(Al,Si)12(O,S)24[(SO4),Cl2,(OH)2] というように、かなり成分に幅があるため、かなりややこしくなっています。このため、昔は混合体と考えられていたこともあったようですが、今は単一の鉱物ということになっています。
 ラピスラズリという名前は、見たままの「青い石」という意味で、昔から「青い石」といえば、この石が代表で、日本でも「瑠璃(るり)」という七宝の一つに数えられているほどです。
 今でも、絵の具の顔料である群青(ぐんじょう)として使われていますが、値段が高いので、合成物もあるようです。
 青色の濃いラピスラズリに黄鉄鉱の金色の結晶がちりばめられたものは、見た目がきれいなので値段が高いです。
 青色が薄かったり、白色の斑が多くあるようなものは、値段が安くなるので、深青色に染色する処理も行われていますので、要注意です。たまに、白い石を青く染色してラピスの名前を付けて売っているのもあったりして、ちょっとビックリしますが・・・。

ソーダライトはラピスラズリの兄弟だけど

 ソーダライト (sodalite)の成分は、Na8Al6Si6O24Cl2で、青色のものが一般的ですが、白、灰、紅、黄色になる場合もあります。
 この石は、ラピスラズリと成分が似ていて、さらに同系の色(深青色)であるのと、似たような白い班が入っているため、ラピスラズリと間違われやすいので要注意です。もちろん、ラピスラズリの方が圧倒的に高価ですし、ソーダライトにはこれといった産業応用もないので、ラピスの代用品となるのが最もポピュラーなのかも。

ちと脱線・・・青い石いろいろ

 ラピス系の青い石って、色も名前も似たようなものがあります。
   ・ラピスラズリ(Lazurite) … 青金石
   ・ラズライト(Lazulite) … 天藍石
   ・アズライト(Azurite) … 藍銅鉱
 純粋な結晶体であれば、そう見間違うことはないのですが、自然の姿のままだと、間違うこともありますね。
 ソーダライトも、けっこう紛らわしいし、青い石の識別って結構大変なのでした。(見た目だけで判断するのは難しいけど、成分が違うので鑑別するのは容易。)
 ついでに言うと、昔はサファイアとラピス・ラズリも混同されていたようなのでした。
ということで、ブルーな石でブルーな気分にならないよう、見た目にも名前にもだまされないようにしましょう。

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