ライダーウェイト・タロット解説

Knight of Swords / 剣の騎士



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He is riding in full course, as if scattering his enemies.
彼は、まるで彼の敵を追い散らすかのように、全速力で(馬に)乗っている。

 「騎士」は、「剣」と同じく、四大元素の「空気」を象徴します。
 つまり「剣の騎士」は、剣のスートを代表する地位にあり、そのカードのイメージは、「空気=風」を象徴します。

In the design he is really a prototypical hero of romantic chivalry.
(カードの)デザインにおいては、彼は本当にロマンチックな騎士道の原型的英雄です。

 「romantic/ロマンチック」というと、恋愛小説を連想しますが、本来の意味は「ロマンス語で書かれた中世騎士道をモチーフにした恋愛小説的なもの」という感じになります。
 なお、ロマンス(romance)語というのは、ローマに関係(roman)する言語ということで、ローマカトリック(roman)教会で標準語であったラテン語を母体とする庶民的な言語、つまりラテン語の方言を意味し、現代では、イタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、ルーマニア語がこの範疇に入ります。
 中世のフランスを中心に、このロマンス語で書かれた、中世騎士道と恋愛をテーマとした空想的物語が多く作られ、その代表作が、『アーサー王物語』であるということですね。
 ちなみに、ライダーウェイト版の剣のスートのデザインは、この『アーサー王物語』をテーマとしていると考えられますので、興味のある人は、ぜひ一度は『アーサー王物語』を読んでみて下さい。

He might almost be Galahad, whose sword is swift and sure because he is clean of heart.
彼はほとんど「ガラハッド卿」であると言ってもよいだろう。彼には心の欠点がないため、彼の剣は迅速かつ確実である。

 「ガラハッド卿」というのは、『アーサー王物語』に出てくる円卓の騎士の一人で、円卓の騎士の中で最も有名なラーンスロット卿の息子であり、清廉で正しい心の持ち主であったため、聖杯探求の旅を成功させた人物です。
 聖杯の奇蹟を体験した彼は、その後すぐに死んでしまいましたが、それゆえ彼は下界で穢れることなく、神の世界へと旅立つことが出来たのでしょう。

 ちなみに、剣のコートカードは、以下の『アーサー王物語』の登場人物に相当すると考えられます。

Divinatory Meanings: Skill, bravery, capacity, defence, address, enmity, wrath, war, destruction, opposition, resistance, ruin.
占いの意味(正位置):手腕、勇気、才能、防御、演説(手際)、敵意、激怒、戦争、破壊、敵対、抵抗、破滅。

 良い意味も、悪い意味もあります。
 状況により、もしくは占者の解釈により、良くも悪くもなるということですね。

There is therefore a sense in which the card signifies death, but it carries this meaning only in its proximity to other cards of fatality.
したがって、カードには死を意味する感じがあるが、それは不運を意味する他のカードが近くにある場合においてのみ、この意味を持つ。

 周囲のカードが悪いと、このカードは、さらなる不幸を招くということですね。
 本来の意味は、決して悪いカードではないのですが、周囲の環境によっては、致命的な悲劇をもたらす可能性があるということです。

Imprudence, incapacity, extravagance.
逆位置:軽率、無能、浪費。

 逆だと、使えないヤツ、ということになりますね。


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